臨床工学技士

医療の現場で活躍

現在の医療になくてはならない、様々な医療機器ですが、それらの高額且つ高度な技術の結晶である医療機器のスペシャリストが臨床工学技士です。

まだ一般の方には耳慣れない職種かもしれませんが、一般的に良く知られている人工透析装置の操作を行う人というとある程度理解できるでしょうか?以下臨床工学技士について解説をしてみたいと思います。

業務内容について

・血液浄化療法の業務・・・腎臓の悪い人の腎臓の機能を代行する人工透析器の操作や点検を行います。
一番多い業務で全国の病院やクリニック等3000を超える施設で行われています。

・手術室での業務・・・手術室に置いてある様々な医療機器の操作・点検を行います。
心臓手術の際の、人工心肺装置や、留置カテーテルの操作・使用前点検等があります。
心臓を一時止めて心臓や肺の働きを代行させるので、万が一にも故障や誤作動等あってはなりません。
安全な手術の陰には、医師だけでなく、こういった機器を正常に作動させるための業務が不可欠となっているのです。

・集中治療室での業務・・・術後の患者さんや重篤状態に陥った患者さんのために、人工呼吸器や心臓の働きを助けるペースメーカーや、除細動器等の生命維持管理装置の操作・点検を行います。

・高圧酸素療法の業務・・・一酸化炭素中毒や潜水病、突発性難聴、糖尿病性網膜動脈閉塞症等の、血中の酸素を運搬するヘモグロビンが機能しなくなったりした患者さんに、高い気圧の下で酸素を吸入させることで血液中の酸素の量を増やすのが高圧酸素療法ですが、これ使用する機器を操作・点検する業務です。

上記だけでなく、最近の医療技術の進歩は目覚ましく、医師だけでは操作が不可能になってきており、医療現場での、医師と患者さんとそれらの機器の間に立ち、医学と工学の知識を併せ持つ臨床工学技士の役割は大変重要です。

資格を取得するために

技士免許取得法臨床工学技士は昭和63年から国家資格です。
その受験資格を満たすために、専門の養成校(大学・短大・専門学校)において、厚生労働大臣の指定する科目を習得する必要があります。
各学校によって違いますが、2~4年かけて科目を習得した後、国家試験に合格すると臨床工学技士となることができます。

試験科目は、医学概論・臨床医学総論・応用電気電子工学・応用機械工学・生体物性材料工学・生体機能代行装置学・医用治療機器学・生体計測装置学・医用機器安全管理学の9科目です。
合格率は80%前後というところ、今年度は75.3%とやや低めだった様子です。

晴れて国家試験に合格した後は、更に目指す専門分野ごとに、透析技術認定士・体外循環認定士・呼吸療法士・臨床高気圧治療技師・臨床ME専門認定士の資格を得てスペシャリストとして仕事をすることになります。
就職後も日進月歩の技術の進歩に遅れることなく業務をこなすには、日々勉強をして行かなければならないでしょうが、将来性とやりがいを考えるとその価値は十分にあると言ったところでしょう。