臨床検査技師

臨床検査技師とは

臨床検査技師は、医師や歯科医師の指示のもとに、医療機関や保健所、健診センターなどで臨床検査と呼ばれる検査を行います。
臨床検査の仕事には大きく分けると「検体検査」と「生体検査」の2種類があります。

検体検査は血液や胃液、粘液、尿、便などの検体を検査し、健康の状態や病気を調べます。
たとえば、病原性大腸菌O-157やMRSAといった細菌やウイルスについて調べる検査や、血液中の糖質、タンパク質、脂質、酵素などの成分を分析し、医師が病気を診断する手がかりとなるデータを作成するといった仕事があります。

生体検査は患者の身体に検査器具を装着して表面や内部を調べます。
たとえば、心電図で心臓の機能を調べたり、頭皮上に電極をつけてα波、β波などの電気信号を脳波形で記録したり、身体に超音波を当てて各種臓器の状態を反射波で調べたりします。

臨床検査技師になるためには

臨床検査技師になるためには、基本的には指定された3年制の短期大学・専門学校、4年制の大学を卒業する必要があります。
臨床検査技師養成大学には国公立と私立がありますが、一般的に国公立大学の方が難易度は高いと言われています。
同様に短期大学や専門学校も国公立の難易度が高い傾向にあります。

私立の養成校に関しては難易度はそれほど高くありません。
しかし、私立の方が国家試験対策をしっかりと行っている所が多く、国家試験の合格率にもかなりの違いがあるので、大学を選ぶ際には事前にしっかりと調べておきましょう。
指定養成機関を卒業すると国家試験の受験資格が得られます。

試験について

試験科目は医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む)、公衆衛生学(関係法規を含む)、臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む)、臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む)、病理組織細胞学、臨床生理学、臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む)、臨床血液学、臨床微生物学及び臨床免疫学となっています。

昨年の実績では受験者がおよそ4000人に対し、合格者はおよそ3000人で、合格率は75%となっており、例年およそ70%の合格率となっています。
臨床検査技師国家試験の合格率は高く、十分な対策をしていれば問題のないレベルの試験と言えます。
ちなみに臨床検査技師の有資格者は女性が多くなっていて、6割程度だと言われています。

就職先と年収について

主な就職先としては、総合病院や診療所などの医療機関や保健所などが多いようです。
病院や診療所から生体検査の検体を受け取って検査を行う検査会社へ就職する人もいます。
また、製薬、食品、医療機器などのメーカーの研究開発部門などで製品の研究開発に携わる人もいます。
新薬の開発については、治験(臨床試験)のチームの一員として、血液検査をはじめとする各種の臨床検査を行い、新薬の効能や副作用のあらわれ方について調べます。
このように、臨床検査技師の活躍の場は医療機関から公的機関、そして、一般企業と非常に幅広くなっています。

臨床検査技師の平均年収は500万円前後で特に高収入を期待できる資格ではありませんが、安定感のある仕事といえるでしょう。
将来的には遺伝子、細胞検査などの特定の専門分野を追究するなど、いくつかの進路の中から自分の興味・関心・適性に合うものを選択できます。