不動産鑑定士

不動産鑑定士とは?

土地や建物といった不動産は持ち主の大切な財産であると同時に、経済活動においても重要な要素となるものです。
このため、不動産の経済価値を適正に評価することが、何よりも大切になります。
もし、不動産の価値が正しく評価されなければ、その社会の経済が破綻する危険もあるのです。

とはいえ個々の不動産には立地の利便性、地形、社会的価値など、さまざまな要素がからみ合っており、その価値を正確に評価して適正金額を算出するのはとても困難な作業になります。
このため、不動産が適正価格で評価され、健全に流通することを目的に、不動産鑑定士という国家資格が設けられているのです。

不動産鑑定は国家資格ですので、国家試験に合格し国土交通省に登録されなければ、不動産鑑定士と名乗れない独占業務です。

不動産鑑定士は不動産の価値を経済的に判断し、その価値を価格に換算すして表す不動産の鑑定評価を行うのが仕事ですが、不動産の鑑定評価から派生する業務は多岐にわたります。
不動産鑑定士の仕事のほかにも不動産の調査・分析、不動産関連のコンサルティング、海外の不動産物件の評価といった業務などを行っています。

私たちが不動産の賃貸借、借金をするときに不動作を担保にする、不動産を相続する、不動産を売買するといった場合に、不動産の価値を正しく評価してくれる不動産鑑定士は欠かせない存在です。

不動産鑑定士になるには?

不動産鑑定士になるためには、国土交通省が実施する国家試験に合格する必要があります。
特別な受験資格ありませんが、試験はマークシート方式と論文方式に分かれており、マークシート方式に合格しないと、論文試験は受験できません。

マークシート方式の試験は不動産に関する法律、不動産の鑑定評価に関する知識について出題されます。
論文試験は3日間にわたって行われ、民法、経済学、会計学、不動産の鑑定評価について記述します。
合格基準はマークシート方式が70%以上、論文試験は60%以上の得点を取ることが条件となっています。

また、2015年から試験問題の見直しが行われ、2016年度からマークシート試験と論文試験のうち不動産の鑑定評価についての問題が若干、変更されるので注意が必要です。
民法・経済学・会計学については、2017年度から見直しが行われる予定です。

2012年時点で、不動産鑑定士の国家資格を取得している人はおよそ約7,700人と少なく、希少価値の高い資格として知られています。
2015年の不動産鑑定士試験の受験者は1,473名で、このうち合格者は451名。
合格率は30.6%でした。

このような希少性の高さは、業界で活躍する人材が停滞し、高齢化が進むといった問題があるため、業界の活力が衰える原因となる危険性が高くなります。
今回の試験問題の見直しによって、業界の若返りが促されると期待されているです。
これを機会に、不動産鑑定士の国家試験にチャレンジされてはいかがでしょうか。