中小企業診断士

中小企業診断士とは

中小企業診断士は、中小企業の経営に関する診断・助言を業務とする専門家であり、経営診断・コンサルティングのスキルを保証する唯一の国家資格です。
この資格は名称独占なので、そのスキルをどのように使うかによって業務は大きく違います。

直接的に利用するなら経営コンサルタントとしての業務になりますが、経営診断のスキルは他社の経営状態を知るために大きく役立ちますから、営業・金融系の企業内でその知識を使うことも考えられます。

試験内容について

中小企業診断士の資格を取得するためには試験に合格する必要がありますが、2006年から試験制度が変更になっているので注意が必要です。
まず、受験資格は特にありません。
誰でも受験することができます。
試験は1次試験と2次試験に分けて行われ、1次試験は8月上旬、2次試験は10月上旬(筆記)と12月中旬(口述)に行われます。

1次試験は従来の8科目10教科から7科目8教科へ変更され、科目合格制が導入されました。
8科目は経済学、経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策で、これらを3年以内にすべて合格することで1次試験合格となります。

2次試験は筆記試験と口述試験からなり、筆記試験に合格したもののみ、口述試験を受験できます。
中小企業診断士試験の合格率は1次、2次試験共に20%程度で、最終的な合格率は5%程度となっています。

試験の難易度は比較的高く、独学での合格者も存在していますが、資格スクールを活用した方が効率的でしょう。
早ければ1年でも合格可能ですが、それなりに時間が必要なため、働きながらの受験の場合は3年計画で合格を目指すのが一般的です。

受験者や年収について

ちなみに、受験者のほとんどは男性で女性はかなり少なく10分の1以下です。
働きながら受験する人が多く、受験者の年齢層は30代の受験者が一番多く、次に40代が多くなっています。
そういう意味では、独立を目指すと言うよりはキャリアアップ・スキルアップのために取得する資格だと言えると思います。
転職や昇進の評価対象にはなるでしょう。

実際、中小企業診断士資格の独立率は他の士資格に比べて低く、3割もいません。
合格者も一般の企業に勤めている人が半数以上を占めています。
ただし、中小企業診断士の資格を取得したものの、ペーパー化している人も少なくなく、本格的に独立を考えるならば、社労士や司法書士など他の資格と併せ持つことをお薦めします。
将来、会社を経営する野望のある人は経営知識習得の面で良い勉強になるでしょう。

収入については、前述の通り中小企業診断士資格取得者のほとんど(7割以上)は企業内診断士であることから、正確に算出することは難しくなっています。
企業内診断士の多くの場合は資格手当が出るだけで、その額も会社によりいろいろです。
独立開業した場合の平均年収は600万前後と言われており、中には年収1000万円を超えている人もいます。